トーマス・ベンチャーズ
2022年3月1日

個人事業者・零細企業向け、パソコンのバックアップおすすめ方法(マルウェア・災害・人的ミス・PC故障対策)

2022年3月1日作成
2022年7月20日更新

仕事のノウハウが詰まったパソコンのファイルは絶対に失いたくないものですね
この記事では主に個人事業者や従業員が数人程度の零細企業の方向けに、できるだけ安価で安全確実にデータを守り、さらにファイルアクセスの使い勝手も格段に良くなる方法をご紹介します

この内容は主に仕事でパソコンを利用している事業者の方を対象としています。有料のクラウドサービスを利用する方法ですので、個人でプライベート用としてのみ使用されている方にはあまり向かないかもしれません

目次

  1. データを失う要因と対策
  2. おすすめバックアップ方法
  3. 準備とバックアップ方法
  4. Dropboxを利用するもう1つのメリット

この記事はかなりの長文になってしまいましたので、結論だけ知りたいという方は以下の2つを先にご覧いただければと思います(クリックすればリンク先に移動します)。
  「2. おすすめバックアップ方法」の(1)(2)
  ・ 私のおすすめ保存設定

1. データを失う要因と対策

まず最初に、パソコン(以後PCと表記)のデータを失う可能性のある要因(脅威)と対策をいくつか挙げておきます

要因(脅威)

 (1) 人的ミス
  謝ってファイルを削除または上書き保存してしまった場合など

 (2) PC故障(ソフト的故障含む)
  ハードディスクが故障したり、OSの更新の失敗でPCが起動しなくなるなど。これらは結構発生頻度が高く、経験したことがある方も多いのではないでしょうか。私も何度かOSの再インストールをする事態になったことがありますが、バックアップがないとかなり大変な思いをすることになります

 (3) マルウェア(ウイルス等)
  例えば、ランサムウェア(身代金要求型プログラム)呼ばれるマルウェアに感染・発症するとPCやサーバーのファイルが暗号化されファイルが開けなくなり、「元に戻して欲しければお金を払え」などと要求されたりして非常に厄介です

 (4) 災害
  地震、火事、水害など災害で事務所が被災し、PCが壊れたり紛失するなど

対策

 (1) 人的ミス
  単世代(最新時点のみ)のバックアップではなく、1日前、2日前、3日前のように複数時点の世代管理型バックアップを取っておく

(2)PC故障
  ハードディスク丸ごと(OS、アプリ、設定状態など各種環境も含め全てを対象とする)バックアップを取っておく

  ※「イメージバックアップ」と呼んだりします

(3) マルウェア(ウイルス等)
  アンチウイルスソフトを導入することが基本ですが、確実に防げるとは限りません。特にランサムウェアの場合、発症後お金を払わずに復旧するにはPCからアクセス不可能な場所(デバイス)に「世代管理型バックアップ」を取っておくことが唯一の方法と言っても良いでしょう

   暗号化されたファイルを元に戻す(複合化する)ツールも開発されていますが、数あるランサムウェアのうちのほんの一部に限られるので、元には戻せ無いと考えておくのが正解と思います

(4) 災害
 他の拠点(営業所等)クラウド上にバックアップを取っておく

以上より、データを守ために必要な対策としては、主に「世代管理型バックアップ」を取ることと「クラウド(または他拠点)上にバックアップ」を取ることの二つになります。


 また、バックアップには「3-2-1ルール」というガイドラインがあって、データを守る為には、

 ① 本データに加え2つのコピーデータの計3データを保持する

 ② 上記①を2つ以上の異なる形態のメディア(デバイス)にデータを保存する

 ③ そのうちの1つは別の場所(地理的に)に保存する


とされています。
では、それらも踏まえ、おすすめのバックアップ方法をご紹介します。

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2. おすすめバックアップ方法

(1) Dropbox の「Plus」もしくはFamily」に加入(有料)し、仕事用のファイルなど絶対に失いたくないファイルは全てDropboxと同期した(PC内)フォルダに保存する

(2) EaseUS Todo Backup Free を無料で利用する(Windowsの場合)
Macの場合は「Time Machine」というバックアップツールが標準で付いているのでそちらを使う方が良いでしょう

上記 (1) (2)の両方を利用します。

その他、以下の物を事前に準備する必要があります

 「外付けUSBハードディスク(もしくはSSD)」・・バックアップデータ保存用(容量はハードディスクの3倍以上を推奨)

 「USBメモリー(もしくはCD-R、DVD-R)」・・起動ディスク作成用(容量350MB以上→現在普通に販売されてるものは確実にこれ以上の容量があります)

Dropboxの利用料金と対象ユーザーは以下の通りとなっています(2022年7月現在)

「Plus」:1,320円/月(税込)(年払い額15,840円を月額換算した場合)
     対象ユーザー:個人向け(1人の場合)

「Family」:2,200円/月(税込)(年払い額26,400円を月額換算した場合)
     対象ユーザー:ファミリー向け(2人〜6人の場合)

 ※名称はFamilyとなっていますが、家族限定というわけではないようです。また、法人でも利用可能とのこと(下記参照)。
Dropbox Family プラン:概要(「16 歳以上のユーザーであれば誰でもDropbox Family を共有できます。」こちらを参照)

質問する-ファミリーアカウント(「会社内でFamilyプランをご利用いただいても問題ありません。」こちらを参照)

Dropboxのプラン比較ページはこちら

なぜDropboxの上記プランを勧めるかというと、「30日間の巻き戻し(履歴)機能」があるからです。変更したり、削除されたファイルを30日間までは遡って元に戻せるという機能です。上の「対策」に記載した「世代管理型バックアップ」と同等の機能を備えていると言えます
従って、もしランサムウェアによりPC内のファイルが暗号化されて開けなくなったとしてもDropboxに保存してあれば正常な状態のファイルに復元(暗号化されてから30日未満であれば)することが可能になるわけです。

ちなみに無料の「Basic」プランには同機能はついておりません。
また、少し値段は上がりますが、ビジネス向けの「Professional」「Standard」なら180日間の巻き戻し機能があります。

これで先に記載した「人的ミス」「マルウェア(ウイルス等)※1」への対策が確保※2できたことになります。

 ※1「マルウェア(ウイルス等)によるデータ消失」に関してのみを意味しています
 ※2 「巻戻し機能」はDropbox社のシステム内部にデータが保存されているため、「PCからアクセスすることが不可能な場所」に相当しランサムウェア対策が確保されることになります


また、Dropboxはクラウドサービスですので、もし事務所が被災してPCを紛失等してもデータは消失しないということで、「災害」への対策も確保できたことになります。

そして、1つ残った「PC故障」への対策には、「EaseUS Todo Backup Free」を利用します。
「EaseUS Todo Backup Free」は「ハードディスク丸ごとバックアップ」機能に加え、「保存(履歴)ファイルの自動削除」(これが無いとどんどんファイルが増えていってしまい、時々手動で削除しなければならなくなる)機能を備えており、私が調べた限り、無料利用できるソフトの中で唯一実用的なものではないかと思います。
 他の無料ソフトとしては、「Aomei Backuper」 などもありますが、保存ファイル自動削除機能が付いていない為(有料版には付属、税込¥6,028 2022年7月現在)、却下としました。

<Windows10、Windows11の「回復オプションメニュー」について>
 Windows10や11には標準で「回復オプションメニュー」という機能が備えられていて、Windowsが起動しないような場合に回復させる機能があるのですが、事前に「復元ポイント」を取得する設定等をしている場合を除いてこれらの機能で回復させることは難しいと感じています。私の経験ではこれらを使って復旧できたことはなく、時間ばかり多大に取られ、結局はOSを再インストールすることになるのがほとんどでした。
 また、ハードディスク故障の場合には基本的にこれらの機能では回復できないので、早く確実、そして簡単に復旧させる為には「ディスク丸ごとバックアップ」を取っておく必要があります。

 ※「スタートアップ修復」「更新プログラムのアンインストール」「システムの復元」「イメージでシステムを回復」等

「イメージでシステムを回復」については、マイクロソフトにて既に開発を終了しているようで、以下サイトにて「他のベンダー製のディスク全体のバックアップソリューションを使用することをお勧めします。」との記載があり使用を推奨していないようなので使わない方が良さそうです。
「開発していないWindows10の機能」
https://docs.microsoft.com/ja-JP/windows/deployment/planning/windows-10-deprecated-features
(ページ下方の「システム イメージ バックアップ (SIB) ソリューション」参照)
(ページの題名には「Windows10開発中の機能」と書かれていますが、翻訳の間違いであり「開発していない」が正解です)

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3. 準備とバックアップ方法

 (1) 外付けハードディスクの準備

まずは、バックアップデータを保存する外付け(USB)ハードディスク(またはSSD)を用意します。
ディスク容量は、対象PCの内蔵ハードディスク(もしくはSSD)全体容量の大体2〜3倍3倍程度以上が良いかと思います。‘22.7.20修正

※ 将来的なディスク使用予定量が推定できるのであれば、その予定量の2〜3倍3倍程度でも良いかもしれません。不明な場合は余裕を見て「全体容量の2〜3倍3倍程度以上」をお勧めします。
 2〜3倍というのは、下記(5)ファイル保存設定の③保存設定で「初めのイメージを削除しない」を有効にした場合は2倍程度、無効にした場合は3倍程度は必要になりそうです。 →検証した結果、3倍程度は必要という結論に至りました(「差分」の場合はさらに多く必要になりそうです)。 '22.7.20修正

 (2) 「EaseUS Todo Backup Free」のインストール

「EaseUS Todo Backup Free」のインストール方法と使い方については、以下「Easy innovation Zone」さんのサイトで詳しく書いてくれていますので参考にされると良いと思います。
https://eizone.info/easeus-todo-backup-free/

 (3) バックアップ内容の選択

今回の目的は「PC故障」への対策なので、バックアップ対象は、「ファイル」「ディスク」「OS」の3つの中から「ディスク」を選択します。

 (4) ブータブル(起動)ディスクの作成 →重要なので忘れずに!
こちらも上記「Easy innovation Zone」さんのサイト(ページ下方の「復元」のところ)に作成方法が書かれていますので参考にしていただければと思います。

※ これは結構忘れがちになりますが大変重要です。なぜならPC故障によりWindowsが起動しない状況から「EaseUS Todo Backup」を使ってディスク丸ごと復元するためには「Windows PE(Windowsプレインストール環境)」という小さなWindows(OSインストール、展開、修復等をするためのもの)が起動している必要があるからです。
 ここではその「Windows PE」と「EaseUS Todo Backup」を収容したブータブル(起動)ディスクを作成します。

 (5) 「バックアップ方法」設定

「オプション」→「バックアップ方法」というオプションメニューで、バックアップファイルを保存するスケジュールや保存期限等を設定します。

 ① スケジュール

「ワンタイム」「毎日」「毎週」「毎月」「イベント時(有料版のみ)」「スマートバックアップ(有料版のみ)」の選択項目があり、私のおすすめとしては「毎日」です。

「毎日」を選択すると、「時間」もしくは「間隔」を選択するボタンが表示され、どちらかを選択します。「時間」は毎日何時にバックアップを開始するという設定で、「間隔」は、〇〇時から〇〇時の間、◯◯時間◯◯分ごとにバックアップをするという設定になります。
これは人ぞれぞれお好みで設定すれば良いと思いますが、私の場合は「時間」を選択して毎日12:00(昼休憩時にバックアップを開始)に設定しています。

 ② バックアップ方法

「完全」「増分」「差分」から1つ選択します。
「完全」は、全データをバックアップする方法で都度何時間もかかります。
「増分」は前回のバックアップ(完全・増分・差分問わず)から変更された部分だけ追加バックアップする方法で、最初の完全バックアップ以降は短時間で完了し、且つデータ容量も最小で済みますが、増分データの一つでも壊れると復元できなくなることもあり「差分」に比べ安定性は劣ります。
「差分」とは前回の完全バックアップから変更された部分を追加バックアップする方法で「増分」よりも復元時の安定性は高いですがファイル容量は大きくなります。

以下サイト「桜PCの役立つパソコン情報」さんで保存設定による動作の違いを詳しく説明してくれていますのでご参考に。
https://www.sakura-pc.jp/pc/contents/software/EaseusTB-addtail.html

私の場合はこれまで「増分」にしておりましたが、上の「桜PCの役立つパソコン情報」さんのサイトを今回読み直し検討した結果、設定の組み合わせによっては「差分」の方がトータル的にはファイル容量が少なく済みそうという結論に至り「差分」に変更し様子を見ることにしました。 →「差分」に変更してみましたが、「差分」の場合、一度でも大きな容量のファイル増加(例えばWindowsのアップデートなど)があると、以降、完全バックアップが行われるまで連日大容量の差分ファイルが保存されていくことになるため、バックアップ容量が大きく増えていきます。1ヶ月の検証をしたところ、最初のうちは1日3GB/程度だったものが途中から11GBになり、最終的には16GBになり、1ヶ月間での1日平均値は11.2GB、総計は338GBという結果でした(検証のためPCの通常使用はせず、基本的にファイル保存もしない状態で)。ディスクの使用容量は80GBくらいなので差分ファイルだけで実使用量の4倍、完全バックアップも加算すると5倍も溜まりました。あまりに大きすぎるので、再び「増分」に戻すことにしました。‘22.7.20修正

 ③ イメージの保存設定

「イメージの保存設定を有効にする」にチェックを入れ、「保存期限」または「保存するイメージ数」を選択します。
「保存期限」を選択した場合は、保存する期間を「日」「週」「月」「年」 から選んだ上、数字を入力して設定します。

「保存するイメージ数」を選択した場合は、◯◯バックアップ(◯には数字)と何回分のバックアップを保存するか設定します。

私の場合は「保存期限」を選択し、期間を1ヶ月※1にしています。

その下の「初めのイメージを削除しない」は、チェックを入れると最初の完全バックアップがずっと残り、「増分」や「差分」ファイルが追加作成され、保存期限が来ても新たな完全バックアップが作成されることは無いようです。
私の場合はこれまで(この設定の目的がよく分からず)チェックを外していましたが、ファイル容量を少なくするには初めのイメージを削除しない方が良い※2ことがわかり、チェックを入れるように変更しました。 → 今回、設定を「増分」に戻したことに伴い、チェックは再び外すこととしました。理由は「増分ファイル」が1つでも壊れると復元が不可能になるという特性から、安定性を高めるには定期的に完全バックアップを実施し、確実にエラーのないバックアップを確保した方が良いと考えるからです。‘22.7.20修正

※1 保存期間は1ヶ月も取らなくて良いような気もしますが、私の場合、以前にWindowsの挙動が不安定(固まるなど)になり、しばらくは再起動により修復できていたものが起動すらできなくなり、OSの更新をした2週間以上前の状態に戻したいといったことがあったのでこのようにしています

※2 初めのイメージを削除する場合、期限後(この場合1ヶ月後)に新たな完全バックアップが作成されますが、旧完全バックアップも次の期限(さらに1ヶ月後)まで残るため、常時2個保存されている状態が続くこととなり容量が大きくなります

「イメージ結合方式でイメージを保存」は、バックアップファイルを結合していくことで容量を減らす機能ですが、設定の組み合わせで動作が変わってきます。
 この機能の有効時・無効時の動作は、「桜PCの役立つパソコン情報」さんによると以下のようになるようです。

「有効」時
 -1) 「初めのイメージを削除しない」にチェックを入れた場合
   「増分」:増分ファイル同士が古い順に結合される
   「差分」:差分ファイルが古い順に削除(結合ではなく)される

 -2) 「初めのイメージを削除しない」のチェックを外した(削除することになる)場合
   「増分」:完全バックアップと増分ファイルが古い順に結合される →今回、実テスト検証を行なったところ、「結合」はされ、新たな完全バックアップが作成されていきましたが、保存期限を超えた完全バックアップと増分ファイルが一切削除されませんでした。何故このような動作になるのか不明ですが、これでは保存ファイルが永久に増え続けることになるためこの組み合わせは実用的ではないと思われます。‘22.7.20追記

   「差分」:完全バックアップと差分ファイルが古い順に結合される

 参考までに「無効」の場合の動作も私の検証結果及び推測から記載しておきます。‘22.7.20追記(始)

 −1)「初めのイメージを削除しない」にチェックを入れた場合
  「増分」:理論上、増分ファイルが削除されることなく永久に増え続ける(いつかディスクがいっぱいになってしまうため、この組合わせの設定はあり得ないと思われる)
  「差分」:差分ファイルが古い順に削除される(「有効」時と同じ動作である)

 -2) 「初めのイメージを削除しない」のチェックを外した(削除することになる)場合
  「増分」:完全バックアップ+増分ファイル(最初の増分から最後の増分まで)が全て同時に(最後の増分ファイルの期限後に)削除される。
   例)保存期間1ヶ月の場合:1ヶ月目の完全+増分1ヶ月分のファイルが、2ヶ月目の完全+増分1ヶ月分が作成し終わるまで残り、その後まとめて削除される(完全+増分ファイルが各2ヶ月間残る状態)

  「差分」:完全バックアップは次の完全バックアップ+差分ファイル(最初の差分から最後の差分まで)が作成されるまで残り、差分ファイルは期限が来たものから順に削除される。
   例)保存期間1ヶ月の場合:1ヶ月経つと1ヶ月目に作成された差分が順に削除されていき、2ヶ月目の完全+差分1ヶ月分が作成し終わると1ヶ月目の完全が削除される(完全は2ヶ月、差分は1ヶ月残る状態)‘22.7.20追記(終)

私の場合は、今回保存方法を「初めのイメージを削除しない」にチェックを入れ「差分」にし、結合する意味がなくなった(「結合」にしてもしなくても「差分」ファイルが削除される)ためチェックを外しています。 → 今回、「初めのイメージを削除しない」はチェックを外し、保存方法は「増分」、「イメージ結合方式でイメージを保存」はチェックを外す(この記事を最初に書いたときと同じ設定に戻した)ことにしました。‘22.7.20修正

余談ですが、私の場合これまで(’22.3月1日以前に) 、毎日1回、保存期限1ヶ月、増分、初めのイメージを削除する、結合なしの設定にしていて、増分ファイルが1日平均1.5GB程保存されていました。
このPCはテスト用で使用しただけなのでほとんどデータは増えてないはずですが結構な容量の増分ファイルが作成されていきます。1ヶ月経てば45GBにもなります。完全バックアップが85GBあり、1ヶ月経つともう1つ作成され2個になるので、85GB×2+45GB=215GBとなり、ディスク使用容量の2.52倍を使用したことになります。

参考までに私のおすすめの保存設定を記載しておきます。 ’22.7.20追記
 ・スケジュール: 「毎日」「12:00」
 ・バックアップ方法: 「増分」
 ・「保存期限」: 「1ヶ月」
 ・「初めのイメージを削除しない」: チェックを外す(定期的に新たな完全バックアップを取る)
 ・「イメージ結合方式でイメージを保存」: チェックを外す(結合しない)


以上の「Dropbox」と「EaseUS Todo Backup Free」の2つを使ったバックアップにより、上に出てきた「3-2-1ルール」の条件も以下の通りクリアされることとなります。

・本データに加え2つのコピーデータの計3データを保持:
  ① PC内の「本データ」(Dropboxと同期
 ※Dropbox上に同期されているデータは、この場合のコピーデータにはなりません

  ② Dropboxの「巻き戻し機能」によるバックアップデータ(Dropbox社のシステム内部で保存されているデータ)  ・・・コピーデータ1

  ③ EaseUS Todo Backup Freeによるバックアップデータ(外付けハードディスク内) ・・・コピーデータ2

・2つ以上の異なる形態のメディア(デバイス)にデータを保存する:

  ① PC内(本データ)

  ② クラウドサービス(Dropbox)

  ③ 外付けハードディスク(またはSSD)

・そのうちの1つは別の場所(地理的に)に保存する:
  ① クラウド上(Dropbox)

<ランサムウェアに関しての注意事項>

 Dropboxと同期されたPC上のファイルがランサムウェアにより暗号化された場合、Dropbox上のファイル(PCからアクセス可能な場所上の)も同様に暗号化されます。それを正常なファイルに復元する為に「巻き戻し機能」を使うということになります。
 また、EaseUS Todo Backupでバックアップされた、USBハードディスク(もしくはSSD)上のバックアップデータも暗号化される可能性が高いと思っておいた方が良いでしょう。なぜならPCから直接アクセス可能なディスク(外付け等)や共有フォルダ(ファイルサーバーも含め)のファイルも暗号化する機能を持ったランサムウェアがあるからです。
 その場合、上記の通りDropboxと同期されたファイルは復元可能なのですが、PC内のみに保存されていたファイル(失いたくないファイルは全てDropboxに同期しておくことをお勧めします)やアプリ、そのほか設定・環境等は復元不可能となります。
 従って1から(EaseUSは使わず)Windowsを再インストールして、各種設定、アプリのインストール、メールのアカウント設定等々全て手作業でやり直す必要があります。

 ただ、アンチウイルスソフトを稼働させた上で、不明なプログラムのダウンロードや実行を許可しないよう注意していればランサムウェアに感染する可能性はかなり低くなると考えますので、万一感染してしまった場合には面倒ではありますが1から再セットアップすることもやむを得ないかなと私は思っております。

 どうしても1から再セットアップは嫌だという場合には、EaseUS Todo Backupの「スケジュール」で「毎日」ではなく「ワンタイム」(その都度1回きり)を選択し、定期的に手動でバックアップをし、取った後はUSBハードディスクを常時PCから外しておくといった対応も考えられます。
 但し、PCが感染したあと気づかずに接続してしまうとバックアップデータも同様に暗号化されてしまう可能性があるので注意が必要です。そのため手動バックアップは月1回もしくは2回程度など、ある程度間隔を空けたほうが良いと思いますが、その間のバックアップされていないデータは復元できないことになります。

 「NAS(ネットワーク接続記憶装置)」を使えば、ランサムウェアにも対応させた上で、毎日のバックアップを自動で取ることも可能ですが、コストや運用管理の煩わしさを考えると個人事業者や零細企業の方々にはあまりお勧めできません。NASに関しては7人以上※1でなるべく安価に「ファイル共有機能」※2を使いたいという事業者様にお勧めします。

 ※1 2人〜6人ならDropboxの「Family」プランが良さそうです。
7人以上になるとDropboxは「Business Standard」以上のプランが必要になりますが、年間115,500円〜(税込)かかるため、2年以上使うならNASの方がコスト的には有利と思います。
 ※2 この場合、NASは個々のPCのバックアップ用途としてではなく、「ファイル共有用途(ファイルサーバー)」として使用します。さらに外付けハードディスクを接続すれば、その「共有ファイル」のバックアップ用途としても使用できます。

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4. Dropboxを利用するもう1つのメリット

 最後に、Dropboxを利用するもう一つのメリットをお伝えします。
今回バックアップ目的でDropboxを選択したわけですが、Dropboxを使うことによりファイルアクセスの利便性が(クラウドを利用しない場合と比べ)格段に良くなります。以下にメリットを記載します。

(1) 外出先からいつでも全てのファイルにアクセスできる
 資料を持参し忘れた場合でも出先で印刷(コンビニとかで)して使用できます。
また、外出先で突発的に何かの資料等(例えば昨年の点検作業結果のデータファイルなど)を見たくなったような場合でも確認することができます。

(2) PC・スマホ・タブレット等どの端末からでも使える
 パソコンを持参せずに出かけた時(私用とか)でも、スマホでいつでもどこでも必要なファイルにアクセスできます。

(3) 情報(ファイル)が1箇所に集められ、整理・活用がしやすくなる
 それまで事務所のPC、自宅のPC、スマホ・タブレット等それぞれに分散されていたファイルがDropboxの1箇所にまとめられることにより、保存場所が分かりやすくなるとともに、重複(無いと思って同じような書類をダブって作ってしまったり)等がなくなり必要な情報を素早く無駄なく正確に扱うことができるようになります。このことは情報活用において非常に重要なことだと思います。

以上、個人事業者・零細企業向けのPCバックアップおすすめ方法でした。
参考にしていただけたら幸いです。

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